嚥下

姿勢が悪いと飲み込みに影響する?

食事動作のポジショニング、誰がやっていますか?

OTさんですか?

PTさんですか?

それともSTさんでしょうか?

 

食事のためのポジショニング

 

といっても、

 

姿勢保持

上肢の使いやすさ

体圧分散

誤嚥リスクの軽減

 

などなど、目的は様々あり

それらを複合的に考えながら、目の前の方に提供していきます。

 

今回は、

嚥下に関与する部位は姿勢とどんな関係があるのか?

将来的に今のポジショニングは未来の食事動作につながるのか?

という視点からまとめてみようと思います。

これはセミナーで使ったスライド。

セラピストの皆さんが今患者さんに提供しているポジショニングは、将来の食事動作の可能性を拡げるものでしょうか?

 

いずれ自立し、背もたれのないような場所で食事をするような場面も想定しながらポジショニングを常にアップデートできていますか?

 

枕やクッションなどでがっしり動けないくらいポジショニングしてしまえば、患者さん自身が持っている姿勢を修正する力を奪ってしまう原因にもなります。

 

自分でできることは自分でしてもらう。

これはポジショニングでも同様です。

 

姿勢と嚥下の関係

食事場面の姿勢制御では、体幹・下肢の役割が重要となります。

詳細はまた別の機会に書きますが、

ぼくたちは食事の際、

「どれから食べようかな?」なんて目の前に並んだ食べものを見渡しながら食べるものを選び、

上肢を使って、手を伸ばし、箸やフォーク・スプーン、ときには手で食べものを手に取り口まで運びますね(上肢操作)。

そして口の中に入ったものを噛んで、そして胃まで送り込みます。

本来、この飲み込み(嚥下)や上肢操作は姿勢とは独立して働きます。

 

しかし、病気や体力の低下などで姿勢を保つことが難しくなると嚥下や上肢操作に関わる筋が姿勢を保持するために参加します。

 

脳卒中の方などでは分かりやすいですね。麻痺していない側の手もテーブルに肘をしっかりつけたり、車椅子のアームレスト(肘掛け)をがっしり持っていたりしますね。

 

また姿勢保持が困難で、常に「倒れていきそう」「傾きそう」と感じていれば自然と注意は「何とか座っていること」に向いてしまい、食事中の会話や周囲の雰囲気、食べものの味なんか気にする余裕すらないかもしれません。

 

綱渡りしながら、食べるご飯は多分美味しいかどうかなんて感じる余裕ないですよね。

 

ということはつまり、

安定した姿勢、倒れていくことを気にする必要がない姿勢を獲得、提供していくことで

 

嚥下や上肢操作に関わる筋を(姿勢制御に参加させることなく)自由にするという運動面のメリット。

 

さらに安定した姿勢により、注意や情報処理を姿勢制御以外に向ける余裕を作るという目に見えない認知面のメリット。

 

という2つメリットを生み出すことができると考えています。

 

ということは

なぜ食事のポジショニングをするんですか?を

考える場合、以下のことが大切な視点になりますね。

摂食嚥下に対してSTさんが介入する場合、多くはすでになんらかの摂食嚥下機能が低下しており、常食をスムーズに誤嚥やむせ込みなく食べることが難しい状況になっていると思います。

 

そこで姿勢の保持が困難になることで、摂食嚥下筋は持っている能力をさらに発揮しにくくなります。

 

ポジショニングの目的は

姿勢制御の不足要素を枕やクッション、リクライニング・チルト車椅子の角度調整などを駆使して補い、摂食嚥下筋の残存能力を最大限「食事のために」活用できるようにすること

と言えますね。

 

そう考えると、

良い座位姿勢は

・体幹・下肢により重力下において姿勢を制御・保持することができる

・それ以外の部分である嚥下筋や上肢操作に関わる筋を本来の役割に最大限活用できる

ことが大事なわけです。

 

座位でも骨盤を保持したり、制御するには下肢の役割が重要になります。

骨盤前傾したら、下肢の支持性がないとそのまま骨盤の前傾は止められず前に倒れます。しっかり支持ができるから骨盤さらには上半身の重さを受け止め、さらに持ち上げることで立ち上がりができます。

 

体幹・下肢が体重を保持し、制御する

上肢が自由

嚥下もしやすい

 

そう考えると、PT,OT,STが目指すべき座位姿勢は本来同じはずだと考えます。

 

逆にPT,OT,STさんがお互いに自分の得意分野以外のことも気を配ることが大事だとも言えますね。

 

 

姿勢が悪いと嚥下にはどんな影響が?

顎が前に出て背中が丸くなっている、いわゆる悪い姿勢ですね。

 

PTもOTもSTもこの姿勢は良くないことは何となくでも分かるはずですね。

 

でもなんでこの姿勢良くないんですか?

 

これが説明できなければ、

「姿勢を良くして!」という声かけは、患者さんには届きません。

 

では悪い姿勢だと嚥下にどんな影響があるか考えてみましょう!

 

頭部前方突出位のデメリット

ものすごーくざっくり説明しますと、飲み込む時には舌骨が上に上がります。

ごっくんする時ね。

 

舌骨なる骨は上図でいう喉のあたりの黒い物体です。

 

舌骨が上に上がり、気道に蓋をして食べものが食道に流れ込み、胃に運ばれます。

 

舌骨が上がらないとしっかりと気道の蓋をすることができなくなり、気管支・肺につながる気道側に食べものが入ってしまいます。誤嚥の始まりですね。

 

しかしこの舌骨はやっかいで、図にあるようにすごく小さく、そして軽いんですね。ということは舌骨に付いている筋の影響を受けやすいわけです。また詳細はいずれ書きますが舌骨には上下に様々な筋肉がついています。舌骨はそれらに付く筋の緊張の引っ張り合いによって位置決定や運動がなされます。

 

①肋骨の重さが舌骨を下に引く

円背になることで肋骨は下に向きます。

肋骨の方が重たいので、肋骨と舌骨をつなぐ筋は肋骨の重さで下に引っ張られます。そうなると舌骨は下に引かれやすく、上に上がりにくい状態になります。舌骨の上に付く筋の力があれば舌骨を持ち上げることができ嚥下は可能ですが、それでも肋骨が下に引っ張られる分の余分な力が必要となります。

②下顎も下に引っ張られる

舌骨が下がることで、舌骨と下顎をつなぐ筋も下に引っ張られます。そうなると下顎も下がりやすく(口が開きやすく)なります。

食べものを口に取り込んだ後には、食べものを下顎を使って噛む・すりつぶします。

そしてその後は口を閉じて、舌を使って食べものを奥に運んでいきます。

舌も下顎に付いているので、下顎がしっかりしていないと舌も動かしにくくなります。

さらには下顎がしっかりとすることで飲み込みの時に下顎の方に舌骨を引き上げることができにくくなります。

③舌も下(奥)に引っ張られる

舌骨が下げられると舌の奥、後ろ側が下に引っ張られます。お察しのように舌骨と舌をつなぐ筋があるからです。そうなると舌を動かしたり上顎の方に密着することが難しくなります。そうなると舌で食べものをさらにすりつぶしたり、咽頭の方に送り込むことが難しくなります。

 

声を出す際の舌の動きにも影響しますよ。それはまた今度書きますね。

 

④首(頚椎)が反ったまま固定されやすい

背中が丸くなることで、肋骨が下に向くと引っ張られるのは舌骨につながる筋だけではありません。

 

上の図のオレンジ色の胸鎖乳突筋も下に引っ張られます。この筋が下に引かれると顔を上に向ける/顎を前に出す方向に頭蓋骨が引っ張れます。

 

要は顎が引きにくく、下を向きにくくなるんですね。

 

そうなると何が起こるでしょう?

 

座っている姿勢で下が見にくくなると、

テーブルに並んでいる食べもののお皿が見にくくなるんです。

「どれから食べよう?」なんてお皿を見渡すのがやりにくくなるんですね。

 

 

姿勢が悪いと色んなとこに影響が出るんですね。

 

 

姿勢の悪さにより食事にどんな影響?

・飲み込みや上肢操作に関わる筋が使いにくくなる

・舌骨が上がりにくくなる

・下顎が上がりにくくなる

・舌の奥が下(奥)に引っ張られて舌が動かしにくくなる

 

こんなことを見ながらポジショニングをしてみましょう。新しい発見ができると思いますよ!

 

介護士さんからのアドバイス

 

当記事をアップしたらすぐに@zakkey5さんがTwitterでご紹介+アドバイスをくださいました!!

Twitterでの人との関わりに対する思いや分析、そして実際のアクションなど本当に学ぶことが多い方です!!!

 

下段のツイートですね。まさに「認知期」です!!

こんな介護士さんが沢山いたら素敵ですね★

 

食事は口に入れる前から始まっています。何を食べるのか?によっても嚥下筋の働くタイミングは変わると言われています。

食器やスプーンのあたる音や食べものの湯気、匂いなどをフル活用しながら患者さんの意識を「食事」「食べる」ことへと向きやすい状況を作る。

 

目もあっていない

口にさっき食べたものが残っている

まだ飲み込んでいない

 

ままに食事介助が進むような場面も何度か目にしました。

 

皆さんは食事を介助されるのであれば、どう介助して欲しいですか?

 

@zakkey5さんアドバイスありがとうございました!!!