脳卒中リハ

脳卒中の方向け「装具を上手に使うポイント①:装具はなぜ必要?」

「いつか装具を外して歩けるようになりたい」

脳卒中の方と関わっているとよく耳にします。

 

でも意外にも多くの方が、装具を使うことでのメリットやデメリットを知らないままに、

 

「脚に麻痺があって弱いから装具を着ける」

 

くらいに認識しています。

 

そして在宅リハの場面でよく耳にするのが

 

「装具はいつになったら取れますか?」

「家の中なら装具なしでも良いですか?」

「はだしで歩く練習をした方がはだしで歩くのが上手になりますか?」

 

というご質問ですね。

 

一回で全てにお答えしていくのは長くなりますので、何回かに分けて書いていこうと思います。

 

 

ということで装具を上手に使うポイントです!!!

 

在宅リハの場面では上図のような膝から下に装着するタイプが多いですね。

図は金属支柱付き短下肢装具と呼ばれる装具です。

●装具の長さによる名称の違い

・膝より上(太もも・ふくらはぎ)まである装具:下肢装具

・膝より下(ふくらはぎ)までの装具:下肢装具

●支柱や継手の部分による名称の違い

メーカーにより名称は様々ですが、

・金属

・プラスチック

・カーボン

・油圧式

など色んな種類が義肢装具メーカーから出ています。

 

多くの脳卒中の方は、病院に入院している際に下肢装具を作成します。

医師のリハの方針や理学療法士の立位・歩行の評価を踏まえ病院と連携している義肢装具メーカーと相談しながらどんな装具を作成するか?が決まります。

ただ実状は病院ごとに連携している義肢装具メーカーが異なり、地域性によっても医師や理学療法士、義肢装具士の装具の選択肢に違いもあると思いますので、「カーボン製が良い!」「油圧式が欲しい!」と思っていても、作成が難しい場合もあります。

 

では、短下肢装具の使い方のポイントをお伝えしていこうと思います。

 

まず誤解のないように。

 

「装具をつければ、誰でも歩きが(勝手に)良くなる訳ではありません!」

 

装具も杖も、あくまで道具です。

 

適切に使えば、歩きやすさを助けてくれますし、使い方を間違えれば歩きにくいままの歩き方が定着してしまう可能性もあります。

 

道具は使い方そして使う人次第で味方にも邪魔にもなりますね。

 

とても切れる包丁があったとしても、それを扱う人次第ではその切れ味を活かすことはできないんです。

 

ということで、装具の目的や使い方、メリット・デメリットを知りましょう!

 

 

1.通常の歩行について知ろう

まず普通の歩行では脚がどのように動くのか?をまず知らないといけないですね。

上の図の脚(右脚とします)が床に着いてからの動きです。

白→オレンジピンク

のように脚が動きます。

 

これだけだと関節や骨がどう動いているかイメージをしにくいので。

線(骨)と丸(関節)を書いてみました。

 

では1つずつ説明していきます!!

1−1 最初に着くのは踵

通常の歩行では

最初にが着きます。

まず踵が着いて、そして踵を支点に足部が前に倒れ、足の裏全体が着きます。

 

ここで大事なポイントがあります!!

踵を支点に足が前に倒れる時には

足首の角度は変わらず、すねも前に倒れます!

 

踵が地面に着いた後、つま先まで着く時には、

すねも一緒に前に傾く。

 

下の図のように。

このすねと足の骨の角度を維持するために働く筋が前脛骨筋という筋ですね。

足の甲を持ち上げる時に働く筋肉です。

 

1−2 すねに続いて太ももが前に倒れる

オレンジの脚で、すねが前に倒れたあと、

ピンクの脚のように、連続して太ももが前に回転します。

 

その時には大腿四頭筋という太ももの前の筋肉が必要になります。

ここで大腿四頭筋が弱いと、

太ももを前に回転させることができず、膝が曲がったままになったり、ガクッと膝が折れたりします。

 

踵が着いた後、

すねの骨 → 太ももの骨 の順に前に回転します。

 

この動き、わかりやすくしますと、

 

 

棒高跳びの棒の動きに似ているんです。

 

 

前半は棒の下半分:すね

後半は棒の上半分:太もも

の順に前に傾いていきますね。

上の図で考えると。

①棒②地面についている棒の先を支点に連続的に前に傾いていくことで、③選手を前上方へと移動させることができます。

 

歩きで考えると、

①すねと太もも②踵を支点に連続的に前に傾いていくことで、③上半身を前に移動(膝が伸びたままお尻が足首よりも前に移動)させることができます。

 

・歩行では、棒高跳びの棒のように地面に着いている踵を支点に、すね→太ももの骨の順に前に回転する。

・すねの骨を前に回転させるには、すねの前の筋肉(前脛骨筋)の働きが必要。

・太ももの骨を前に回転させるには、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の働きが必要。

・すねと太ももの動きにより、体が前に進む(膝が伸びたままお尻が足首よりも前に移動)ことが可能になる。

 

スムーズな歩行のためには、

すねと太ももの前への回転

その結果、

膝が伸びたまま

お尻が足首よりも前に移動すること

が重要になります!

 

でも脳卒中の方は

ふくらはぎの筋肉が突っ張ってしまい、すねが後ろに倒れてしまったり

(足首より膝が前にいかない)

 

膝がガクッと曲がってしまったり、

お尻が後ろに引けたりしてしまいます。

 

装具は、

そのような悪い動きを防ぎ、

良い動きをサポートしてくれます。

 

上手く使いこなせば…(それが意外に難しいんですよね)

 

 

では次回は短下肢装具の役割について、書きます!!!

 

愛知脳卒中在宅リハサービスとは?脳卒中リハの予約・相談